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兼業のすすめ

2019年6月14日 CEO

Ridge-iでは創業時点から兼業を好意的に考えています。

 

兼業を認める条件:

1)兼業先が競合関係でないこと

2)先方も兼業について理解していること

3)守秘義務について問題が起きないこと

4)Ridge-i業務に対してプロとして成果を出しつづけるべく、自身でコントロールできること

 

上記の4条件を満たす限り、原則許可しています。むしろキャリアの選択肢を広げるという意味で、サポートしたいと考えています。

 

すでに社内に兼業をしている人も複数いて、牛久CRO(Chief Research Officer)のように他の企業と兼業の方、産総研のような研究機関との兼務、大学の准教授で週1リモートの技術顧問など様々です。

また入社前に兼業としてパートタイムでRidge-i(以下RI)に入ってからフルタイムに切り替える方も多くいます。

 

こちらの制度導入に至った背景としては、プロフェッショナルについての想いと私自身の3回の転職経験があります。

 

 

・優秀な人の能力を、一社に縛らずに、社会で共有する

 

「社外CROという仕組みは、優秀な頭脳・経験を一つの会社に縛られずに共有することで、一社にとどまらずに大きなインパクトを出すための新しい取り組みとなります。そのため、牛久氏はオムロンサイニックエックス社との兼務となります。」

 

上記は、牛久社外CROが入った時の私のコメントです。

 

優秀な人には沢山の依頼が来るもので、兼務・兼業ができるというのは、それだけ様々な方面で能力を買われている優秀な証だと考えています。その中には必ずしもフルタイムで対応する必要がない仕事も沢山あります。

 

会社は、より多くの顧客企業からの依頼を来ることを成長の証であり是としているのですから、その社員も多くの方から頼られるのが成長の証です。それを兼業禁止として縛るのはおかしく、できる限り社会に共有できるべきです。

 

また本人も活躍できる可能性があるのに、兼業禁止という制度で縛られることで成長と露出の機会を失ってしまうのは本人にとっても大きな機会損失です。

 

他社からも依頼が来る程、RI外でも活躍できる社員が多くいたほうが、RIとしても強い会社だと思いますので、むしろそれくらいになってほしいな、という気持ちがあります。

 

(ただし、競合の場合は残念ながら話が複雑です。
社外での論文輪読会等の個人の相互参加は問題ないですが、業務となると守秘性などで問題が起きやすいのでケースバイケースだと思っています。金融業界にいた時、かなりのヘッドハントがありましたが、原則金融では兼業禁止なのと、基本どこも競合関係のため、転職というハードディシジョンしかできませんでした。そこの問題意識については後述します。)

 

 

・副業ではなく兼業。プロとして成果にこだわる

 

兼業は奨めていても、私は副業という表現は嫌いです。「副」には本業と比べて力を抜いている感覚があり、よくある「サラリーマンの副業」みたいなのは単純な小遣い稼ぎの場合がほとんど。そんな依頼なら、趣味や個人の研鑽として行ったり無償で受けたほうがよい。

プロとして追求する以上、どの依頼も疎かにせずに、時間内で最大限のアウトプットをだすべく打ち込んでこそ、顧客の期待を上回って、社会にインパクトをだせます。

RIに週1回来る方でも、「副業」という感覚の人でしたら絶対に依頼しません。田丸社外取締役などは、経営判断のプロとしての兼業なので、たとえ1時間のMTGでも全力で臨んできます。

 

勤務時間や給料の配分で本業・副業と分けるような勘違いをすると、どちらも中途半端な結果になり、二兎追うものは一兎も得ず、は起きがちです。

「本業が忙しくて、、」みたいな言い訳が出てくるときは、まだ兼業できる程のキャパがないと思った方がいい。

そうならないためのチェックとして、

4)Ridge-i業務に対してプロとして成果を出しつづけるべく、自身でコントロールできること

の条件は入っています。

 

(ちなみに兼業を翻訳するとside workと出てしまい、明らかに副業という意味になるのが残念。。なにか良い表現あったら教えてほしいです。)

 

 

・転職というハードディシジョン前に「カルチャーフィット」を見るために兼業は有効

 

最後に、兼業を認めることで、転職のリスクを減らすことができます。

人生の中で転職はとても大きなハードディシジョンです。(昔よりかは緩くなってきている気はします。)

 

私自身、何回か転職をしてきましたが、転職先の正否を決める最重要ファクターの1つは「カルチャーフィット」だと思っています。

 

会社のカルチャーフィット(社員間のコミュニケーションのしやすさ、細かい制度との相性など)は、待遇や業務内容と同じかそれ以上に生活の質を決めるとても大きな要因で、社員・会社双方にとってとても重要です。

 

待遇・業務内容に見合ったスキルがあるかは書類と面接でわかりやすいですが、カルチャーフィットは入ってみないとわからない。面接中のいろいろな会話でお互いに探りますが、やはり入ってみないとわからない事がほとんどです。

 

多少のズレでしたら、会社・社員双方に理解が進むことで大体解消しますが、特に大企業では企業側の融通の余地は少ないので、「全然合わない!」ということが起きます。

 

どうしても相性が合わないなら、基本的には別れて、自分の個性・スキルがもっと活きる環境にいたほうがいいですが、正社員を望む人にとって、数ヶ月で会社を辞める、という経歴が複数残るのは、基本的にあまりいいものではありません。
(正社員はある程度の長期間の業務に対応するための契約形態で会社側もかなりのリスクを負うものです。転職回数は昔より重視されなくなってきているとはいえ、正社員希望だとしたら、長期間働けない人と思われるのはデメリットです。)

 

もちろん会社側は、解雇は原則できず、とくにカルチャーフィットのミスマッチをその理由にすることは出来ません。そのためミスマッチが起きた場合には、双方にとって望ましくない関係なのに、なんとなくズルズル続いてしまう、という事になりかねません。

 

このような状態を避ける上で一番いいのは、退職・入社というハードディシジョンの前に、兼業状態で一緒に働いてみることだと思っています。

 

1ヶ月、2ヶ月一緒に働けば、大体会社との相性がお互いにわかってきます。そのプロセスを踏まえてから入社をすることは両者にとってメリットがあると思っています。

 

私がいた金融業界では、誘われた企業はほぼ全て競合だったので兼業は難しかったのですが、RIの場合は、異業種からAI開発に入りたい、というパターンが結構ありますので、その場合、兼業でのスタートを推奨することがあります。

 

 

・最後に

 

プロとしてどの仕事・どの業務も疎かにせず結果を出す人、になるには結構時間がかかります。したがって、安易に複数の業務を持つことは推奨しませんが、プロとして自他認められてきたら、兼業は成長の証だと思いますので、RIおよび私はどんどんしていいんじゃないかな、と思っています。