PROJECT リッジアイの現場で使えるAI開発事例

AI on TOP - 生成AIを活用した衛星データ利用インターフェース

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衛星データの活用を阻む一つの要因に、衛星データの入手が難しい、様々な解析手法やAI技術を使うのが難しい、という課題があります。 GEOINT人材の育成や、ハンズオンなどを通して技術者を育てるというアプローチも可能ですが、私達Ridge-iが提唱しているのは「AI on TOP」という考えです。 これは、生成AI(LLM)をインターフェースとした対話型のツールを提供し、衛星解析技術に詳しくない人が、だれでも簡単に、データの入手と解析ができるようにする未来です。JAXA公募委託事業にも採択いただき、またCONSEOでのデジタルツインWorkshop(2024年3月開催)で発表したところ評価いただきました。

プロジェクト概要

  • 生成AI(LLM)を活用した対話型のインターフェースにより、専門知識がなくても、様々な種類の衛星データや、解析技術(雲検出などの前処理、変化検出AI、物体検出AIなど)をシームレスに使うことができる環境
  • 分散された地球デジタルツインの要素技術・データを統合し、実用的なデジタルツインを実現するプラットフォーム

開発の背景

Ridge-iでは,、高精度な物体検出AI(土砂崩れ、船舶の発見など)、無償の衛星データを活用した大規模変化検出AI(森林伐採の発見など)、そしてそれらを組み合わせたRIDGE DUAL AI大規模な地物の変化解析、国土地理院やNHKが利用)など、AIの開発を行いながら、衛星産業での事例創出に挑んでいます。

(事例一覧 CONSEO発表資料)

しかしながら、民間企業や個人のレベルまで、衛星データの利用が進んでいるとは言えない状況が続いています。またさまざまな衛星データや、解析するためのAIが増え続けると、すべてを網羅している人がいるという前提のワークフローは難しくなっていきます。 

こうした課題について、さまざまな宇宙関係、有識者会合の中で、GEOINT人材の不足、シーズドリブンの衛星解析、事例が少ない、画像が高い、などの議論がされています。そのような中で「衛星データの入手・解析が難しい」という点に着目し、”AI on TOP” という考えに至りました。

 

AI on TOP で実現すること

AI on TOPがさまざまなデータレイク(衛星データおよびPLATEAUなどの非衛星データも含むデータアーカイブ)とAPI接続することで、データの入手すらも自動化することができます。これをAIで代替することで、例えば
「去年8月に日照時間が最も長かった地域の衛星画像を取り出して、そこにソーラパネルが設置がされているか、確認してほしい」
と、AI on TOPに入力すると、

・目的にあった衛星データ・ドローンデータなどをAPI経由で取得
・前処理(雲の除去、位置合わせなど)
・日照時間の解析、ソーラーパネルの検出AIの実行
・結果表示

といったことが自動で行われて、その結果がユーザに返されます。

▼ デモアプリ
「つくばの昨年7月の温度を、衛星データから教えて下さい」
と入力すると、JAXA-APIのGCOMデータが適切とAIが判断し、自動的に入手して表示しています。

今後の発展

今回のデモアプリはコンセプトを伝える簡単なものとなっています。
このAI on TOP の発展に向けて

・事例の創出
・データレイクの拡充(衛星データ以外も)とAPIの整備
・解析AIモデルの拡充

の3点を同時に進めていくことが重要と考えています。

そのために、AIのアルゴリズムの進化をきちんと捉えて実装すること、データホルダーとのパートナーシップ強化、そしてユーザーとなる企業との連携強化というアクションをRidge-iは行っています。

生成AIを衛星解析に取り組むという技術的にも野心的なチャレンジですが、 「AI on TOP」が実現することで地球デジタルツインの実現(災害・環境変化の見える化・予測可能な地球データの整備、シミュレーション可能な環境構築)に向けたキーとなると考えています。

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