代表の柳原です。久しぶりの投稿になります。
Ridge-iは第3次AIブームと注目が集まり始めた直後に創業しましたが、5年経ってAIマーケットは変わってきました。
残念ながらAIプロジェクトの成功率の低さが話題になることが多く、問題だと思っています。
ー経済産業省のレポート 中小企業での導入成功率は3%
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2019FY/000825.pdf
ーBCGレポート AIで利益享受をした企業は11%
https://www.bcg.com/ja-jp/press/18february2021-expanding-ai-impact-with-organizational-learning?fbclid=IwAR3lgOpAVQjQcrsuQ_JSmq-eckKf6LQfeEsZxB-zE8XN0UPcJTTTIPY9iMY
ーAI TECH TALK での私の講演資料
「AIで利益享受した企業は 1 割。実社会で使われるための取り組み」
https://www.slideshare.net/TakashiYanagihara/ai-tech-talk-ridgei
ガートナーのハイプサイクルをなぞったように過度な期待が収まってきたタイミングです。実用されているAIも世にはあるのですが、幻滅したケースが多いのは確かでしょう。
PoC祭りともいわれていたりと、AI関係者全社が一丸となって改善努力をしないとマーケット全般のレピュテーションリスクがあります。
Ridge-iに相談に来ていただいたお客様に提供している主な工夫としては、
・AIの技術力はもちろん重要だが、AIだけで解こうとしない。
・MLOPsなど運用と改善もセットにした提案
・様々なデバイス実装方法
・パートナーシップの重要性
・現実的な学習データの有効活用
・AIプロジェクト特有の課題とプロセス
などなど、色々行っています。講演のスライドにも書き起こしましたので、もしご関心があればご覧いただければ幸いです。
また意外ですが、言葉遣いでも成功率に影響がでます。
たとえば、AI業界でよく使われている、PoC(コンセプト・概念検証)の定義の曖昧さについては特に問題が多いと感じています。
PoCは仮説検証なので、「そのコンセプト・仮説は成り立たない」という検証結果もありえます。
しかし、実はもしかしたらコンセプトは良いのに、AI開発側の技術力が足りない故に実装に失敗しているときもあります。
仮説はあっていて、本当だったら、実装方法を変えたらすごい有効なコンセプトだった。
でも、どの部分で失敗したのか分解が曖昧のままで失敗の一括りになってしまう。そんな風に、埋もれてしまった実は良かったコンセプトがいっぱいあるように見えています。
また逆に、検証過程を通常の開発委託のように進めてしまって「必ず動くもの」を期待してしまい、仮説の検証回数が減ったり、だめな仮説でも無理やり動かそうとしてしまう。
すると結果として何んとなく動くけど結局使われないものにになったりします。
そういった問題を避けるためでも、Ridge-iではPoCという言葉はあまり使わないようにして、技術アセスメント、仮説検証フェーズ、MVP作成など、フェーズごとの言葉と目的に関係者で認識相違が起きないように使い分けるようになってきました。するとプロジェクトフェーズごとに期待値が適切に定まるので、試行錯誤や方針調整が柔軟にできて、結果としてプロジェクトは前に進んでいくことが増えていきます。このように言葉一つでもプロジェクト成功率が変わります。
とても地道ですが、技術・プロセス・言葉遣いなど、様々な改善と工夫を一つづつ積み重ねつつ、プロジェクト成功率を1%でも上げるための工夫をすることで、少しでも新しい技術の可能性を正しく世に展開できるところまで届ける努力をしています。