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成功するプレゼン 5つのコツ

2024年2月26日 CEO

研究発表、起業家ピッチ、編集者への売り込み、イベント登壇、新規営業、etc...

さまざまな場面で、不特定のバックグランドの人たちに自分の考えを多くの人に伝える、というシーンが出てきます。
この限られた時間で最大に成果を狙って、伝える技術は、ビジネスの中で一番大事なスキルの一つです。

 

ありがたいことに、Ridge-iを創業以来、顧客との最初の接点は私の講演であることが結構あります。
またプレゼンが上手い経営者、というフラグがVCの中であるらしく、色々な舞台にお声がけいただいています。
大学での起業家セミナー、片山さつきのイベント、NVIDIAでの講演など、、クローズドなイベントを入れたら週3回くらいのペースで話しています。
大体評価としてもらえるのは「登壇者の中で一番わかりやすかった」という評価です。

 

とはいえ、私自身、生来のプレゼン上手、というわけでもなく、Ridge-iを起業するまでほとんど機会はありませんでした。
むしろ、そもそも大勢の人と話す、というのが苦手で、いわゆる奥手のエンジニアでした。いつも、決まった人とばかり話す。

自分がプレゼンに近いことをしたのは32歳です。起業前のブラックロック時代に40人ほど、ファンドマネージャーから決済担当のまで様々な職種の人たちにこれから導入するシステムの商品説明をするときです。違う知識を持った人たちに、共通認識を取ってもらうためになんの単語を選ぶべきか、難しさを痛感した瞬間でした。その日は、あー、えー などを挟まない、程度しか考えが及びませんでした。初のプレゼンは今思うと10点位。

その次に、難しかったのが、起業後にNVIDIAイベントで講演を頂いたときです。
打って変わって200人位のAIに関心のある人たちがいる。その人達向けに時間厳守で喋る。短い時間で何も知らない自己紹介から話す、ということの難しさを知ります。

プレゼンをして、全く返信がないことがほとんど。でも、一人二人とメールをくれることもある。何をしたら、良い結果が来るのか、こないのか。様々な確度で分析しながらファインチューニングをします。プレゼン資料もピクセル単位で微調整をする。
そうしてようやく見えてきた大事なプレゼンのコツを共有します。

 

前提 プレゼンの種類

プレゼンにも難易度が色々あります。参加者の関心や知識によって、大まかに4つに分かれると考えています。

●会議   お互いを知っている。関心・アジェンダが明確。相手も参加する。
●プレゼン(発表) 興味関心が明確。参加者に共通する知識が多い。相手が強制参加。
 社内のプロジェクト報告会、研究室・学会の発表、先生の講義
●プレゼン(ショー) 発表者に強い関心。音楽・照明など全体の空間演出。TED、Youtuber、有名人の講演・パネルトーク
●プレゼン(アイデアピッチ) 相手が自分をしらない。任意参加。興味関心がばらばら。登壇者も交代。会議室など新規営業、無名の講演、起業家ピッチ

今回取り上げるのは、もっとも難しいかつ経営者に必要と思われる、プレゼン(ピッチ)で必要とするスキルです。

これら全部に共通する項目としては、「あー、えー、いわない」「時間を守る」など、が入ってしまいますので、このあたりはビジネスマナーともかぶるので一旦割愛します。

 

プレゼン(アイデアピッチ)成功するプレゼン

●1つ目のコツ 「目的に徹底する」

まずあたりまえですが、「成功」の定義を何にするか、によります。
成功とは「狙った行動を聴衆がとってくれること」です。

例えば、小説家・漫画家の営業だったら、原稿やストーリを担当に話して、「この話を自社で通すために、編集長にあげる、と意思決定してもらうこと」です。起業家の資金調達ならば「あとで詳細を聞くために連絡しよう。あとで上司に面白い会社ありましたと連絡しよう。と意思決定すること」です。

大事なのは、全部の聴衆を狙わないことです。50人が聴衆ならば、一人か二人で十分です。
全員に耳障りのいいことをいっても記憶に残りません。

すべてのストーリを目的を徹底するための構成にします。

行動を想像するうえで、不特定多数のままで厳しいならば、「特定のペルソナ」を仮定するのも有効です。
私はよく「32歳前後の大企業勤務で、デジタルの領域にある程度詳しい、外部とのコラボレーションに意欲的かつ行動力のある、経営企画室に配属したての主任が、情報収集のためにイベントに来ている。できたら将来起業したいと薄ぼんやり考えてる」とかそんな感じを想定したりします。そうすると、どんな情報や行動が可能かだいぶ見えてきたりします。

●2つ目のコツ 「興味関心を惹く」

会議などと違い、プレゼン(ピッチ)の難しさは、相手が任意参加であることです。

あなたのプレゼンの最大の敵は
スマホ
です。

あくまで面白いことを知りにきている、という程度のケースが多いので、つまんないな、と判断されたらスマホにすぐ目が行きます。そしたらもうアウトです。

そもそも、あなたが話し始めていることにすら気づいていないこともあります。
冒頭の出だしを印象的にするためにあらゆる工夫をこなしましょう。
そのためには違和感のある聞き慣れないキーワードか、多くの人に関心がある言葉を入れることです。
「猫好きで目がない」とか、「先週フジロック行きまして、」とか。なんでもありです。

私の場合は、鉄板ワードの「富士山1日三往復」「子供が4人」とかがあります。

また、私はよくお土産スライド、といいますが、儲かりそう、面白そう、役立ちそう、整理されてる、と思ってもらえると、興味フラグがたちます。またみんなに役立つまとめスライドを一つ作ってみましょう。そこのスライドを話しているときに、写真を獲るためにスマホを取り出したなら成功に近づいた証拠です。

●3つ目のコツ 「捨てる勇気」

せっかく興味が湧いたのに、つまらないプレゼンと判断される最大の理由に 「冗長」があります。
スライドの文言を読む、という行為が一番危ない。喋るよりも、目で読むほうが5倍位はやいので、冗長と感じさせるリスクがあります。

また大企業や官僚だと、プレゼン(発表)に慣れすぎてしまい、ゴミゴミしすぎたスライドになるケースも多くあります。そうするとスライドを見た瞬間に「何言いたいんだ?」という疑念が走ってしまい、発表者の信頼が揺らいでしまいます。

私がこの削る、というのを考えるときに手塚治虫の話をよく出します。

手塚治虫は最後の宇宙戦争のときに、400枚の原稿のために1000枚実は書いていた、というストーリです。
天才さえ4割の歩留まりなわけですから、私達は、1割と思っていい。
10枚原稿を書いてみて、それを1枚のスライドにまとめる。これぐらいで、ようやく見る価値のあるスライドになっていきます。
私もだいたい歩留まり5割くらいでした準備したうえでいつも臨んでいます。

有効なのは、1分Ver、3分Ver、5分Verあたりで書いた場合に何を残すか、を厳選することです。
2枚のスライドを1枚の左右にまとめるとかではありません。そうするとゴミゴミスライドができあがります。

以下にキーワードを厳選するか。捨てるべきスライドは思い切ってすてる。
似たことを言っているならば、その2つが含んでいる本質的に伝えたいことはなにか、自問する。

よくある失敗に「全部伝えたくなる病」がありますが、短時間ですべて伝えることは無理です。
むしろせめてこれだけは伝わってほしい、の順番を決めてスライド構成を考えましょう。

●4つ目のコツ 「不特定の人に伝える工夫」

良いコンテンツができた!これなら出資してもらえるに違いない。と思えるようなアイデアに行き着いた。
でも、これは料理で言えばレシピのような段階です。

このあたりからデリバリー力を磨く必要があります。

プレゼン(ピッチ)ならば、不特定多数という前提になるので、その練習ならば、前提知識のない人に聞いてもらい、「わかった?」と尋ねるのが一番です。

私は起業直後、AIを全く知らない両親に話していました。

私がよくこのわかりやすいキーワードというのを考えるときに好きな言葉があります。
「相手の知識は小学生なみである。ただし、理解力はアインシュタインである」
このように考えると、平易な言葉を使いながら、程よいテンポで理論展開ができるようになってきます。

●5つ目のコツ 「堂々と話す練習」

最後、何より大事なのはやっぱり練習です。
いきなり新しい曲を数十人の前でカラオケをする位、悲惨なことが起きます。(余談ですが、私はカラオケが大の苦手です。拷問のように感じます。)

大勢の前で話す、というのは独特の行為です。遠くにまで届く声をだす必要がある。

また意外とリモートワークが増えたことで、声量が落ちている人もよく見ます。
マイクの前でボソボソと読み上げる人をみると、もったいないな、と思います。

練習でやるべきことはあまりに多くありますので、ここでは3つほど、一番大事だと思うことを伝えます。

・時間感覚を掴む
全体を3分割位にして、きちんとタイマーでラップを測り、何分で喋れているか見てみましょう。
本番の方が、早口になるケースが多いので、練習時はピッタシで良いと思います。
3〜4回練習したら、大体意外と収められるようになるものです。

・言い切れてるか。
あー、えー、がでると「この人考えてきてないな」と思われます。実際、そういう人の多くは会議でも、あー、えーがでます。
また、Xなので、Yなのですが、Zもありまして、、のように文が終わらない人も同様、考えがまとまっていない証拠です。
一文一文をはっきり、Xです。Yと考えます。Zなのでないでしょうか? と言い切りましょう。
一般的に断言するほど、信頼する傾向があります。

・堂々とする
最後、雰囲気も重要です。
堂々と話すにはどうすればよいか。ここでPowerPoseという練習があります。
これは手を腰に当てて胸をはるといった「堂々とした姿勢をプレゼン前に1分する」ことです。
そうするとホルモンがでて面接などの成果があがった、という研究報告がありますです。

私の場合、このPoserPoseと、リポビタンDを飲む をルーチンしています。リポD飲むとプレゼンがうまくいく、という暗示があるからです。そうするとよりうまくいくので、暗示が強くなります。

相手が意思決定する最大の理由は「発表者のあなたは信頼に足る人」という条件を満たしているからです。
この練習は暗示も大事ですが、もちろん周りの人にも見てもらって、「信頼できそうか?」とシンプルに聞いてみましょう。

あとは、本番で言い訳は不要です。試験でもピアノの発表会でも、実力以上はでません。
よく「英語が苦手なので、ご容赦ください。」とか「昨日プロジェクトの追い込みで準備の時間がなく、」とか、あえて自分のプレゼンの期待値を下げる人います。
これは相手を軽く見ています、という意味も含みかねないので、悪手です。

もしどうしても不安だったら、
「今回初めて発表する内容を含んでいますので。、分かりづらいところがありましたら、発表後にご連絡ください。」
と、堂々とお願いするのが建設的です。

・・・・

ここまでは、以下にあなたが持っているアイデアを、相手に的確に伝えるために、どんなことを気をつければいいか、について考えてみました。

アイデアそのものの良さには触れていませんが、上記の5つをきちんと押さえれば、少なくともアイデアに気づいてもらえる可能性は高くなります。

ちなみに、私自身、毎回プレゼンのあと、落ち込むのがほとんどです。
特に質疑応答はアドリブになるので、プレゼン外でどこまで考えられているか、が求められます。

「なぜあのときのあの言葉を選んでしまったか。どうしてあのイントネーションで喋ってしまったか」

終わったあと数日モヤモヤします。
こうした気付きを、家に帰ってメモしたり、周りに「こういった方がわかりやすい?」などとネチネチ聞いて、数年かけてうまくなってきています。

今回は私が考える成功するプレゼンのコツを挙げてみましたが、もしプレゼン上手に関する情報がありましたら、ぜひ教えて下さい