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第4回宇宙開発利用大賞 経済産業大臣賞を受賞

2020年4月7日 プレスリリース

AI・ディープラーニング技術のコンサルティングと開発を行う株式会社Ridge-i(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:柳原 尚史、以下、リッジアイ)は、「土砂崩れ災害検出など、衛星データへのAI解析事業」における技術開発において、内閣府が主催する「第4回宇宙開発利用大賞」の経済産業大臣賞を、2020年3月23日に受賞いたしましたので、お知らせいたします。

表彰状授与の様子。 右:牧原経済産業副大臣。左:リッジアイ代表取締役社長 柳原

 

 リッジアイは、AI・ディープラーニング領域において、顧客課題に寄り添い、現場に入り込んだコンサルテーションに始まり、アセスメント、開発、導入、顧客による自走化までを一元的に提供するテクノロジーカンパニーです。特に、ディープラーニングを活用した画像解析および異なる先端技術とAIを組み合わせた開発に強みを持ち、投資対効果が高く技術面において最適化されたソリューションを提供し、顧客の課題解決に取り組んでいます。これまでの実績としては、デジタル彩色技術とAI技術の融合による白黒映像の自動カラー化技術を株式会社NHKアートと共同で開発、カラー化映像の一部を彩色しNHKの番組でも採用されています。また、船橋市が運営するごみ焼却炉内で、画像解析技術を活用しごみ質を認識する仕組みを荏原(えばら)環境プラント株式会社と共同で開発、自動でごみを識別し運転するAIクレーンを提供するなど、実証実験に留まらず各産業界におけるAI・ディープラーニング技術の実用を進めています

 

 この度、「第4回宇宙開発利用大賞・経済産業大臣賞」を受賞した「土砂崩れ災害検出など、衛星データへのAI解析事業」は、これまで取り組んできた衛星データへのAI解析、特に災害対策を重点分野とした複数の実績を評価いただいたものです。2019年にJAXA(宇宙航空開発研究機構)からの委託を受け取り組んだ土砂災害へのディープラーニング活用では、光学衛星データを解析し、土砂崩れ箇所を自動で検出、全域で数秒という高速解析と約80%の高精度検出を可能としました。従来、熟練の検査員が一枚当たり数十分かけて目視確認していた作業を、一秒以内で処理することに成功しています。

 

 本開発の技術的背景として、土砂の崩落や堆積等の災害箇所を学習する物体検出ディープラーニングと、被災の起きてない箇所を学習する異常検知ディープラーニングを組み合わせて、少ない学習データでも高精度に災害箇所を検出できるシステムを構築し高速解析と高精度検出を可能としました。

 本技術は、AI領域の代表的な国際会議の1つであるNeurIPS2019(Neural Information Processing Systems)1のワークショップに論文が採択されています。また、本成果を、Tellus(https://www.tellusxdp.com/)、S-NET(https://s-net.space/)等のイベントや国土交通省の災害対策検討会などで共有するとともに、衛星事業者や保険会社等と連携することで事業化を進めています。今後は、雨天・夜間に撮影可能なSAR(合成開口レーダー)衛星データ2や過去に土砂災害が発生した土地の降水量や地形などのデータを組み合わせ、将来起こりうる土砂災害の予知・予測につながるシステム等の研究開発にも取り組む予定です。

 

 リッジアイは、本賞受賞を励みに、未開拓のエリアが多い衛星画像データにおけるディープラーニングの活用を一層促進することで、防災・減災をはじめとした社会的課題の解決に取り組んでまいります。また、事業の展開を通し、近い将来日常的に最先端テクノロジーが活用される社会の実現を目指します。

 

  • 「宇宙開発利用大賞」について

 今年度で4回目の開催となる 「宇宙開発利用大賞」は、宇宙開発利用の推進において大きな成果を収め、先導的な取組を行うなど、宇宙開発利用の推進に多大な貢献をした事例に対し、その功績をたたえることにより、我が国の宇宙開発利用の更なる進展や宇宙開発利用に対する国民の認識と理解の醸成に寄与することを目的として定められたものです。今回受賞をいたしました、経済産業大臣賞については、鉱工業の振興の観点から特に顕著な功績があったと認められる個人又は団体に対して与えられるものです。

・第4回宇宙開発利用大賞 受賞事例:http://www.uchuriyo.space/taishou/

・経済産業省 経済産業大臣賞の表彰状授与:https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200327005/20200327005.html

 

  • Ridge-i 評価のポイントについて(選考委員会講評/受賞のポイント)

 即時性が必要な災害対応において、極めて高速に土砂崩れ箇所の 検出を可能にするなど、社会的意義は非常に大きい。衛星データの活用という面でもモデルケースになりうる事例である。 今後、衛星事業者等との連携を進めるほか、国土交通省災害対策 検討会において解析結果が活用されており、独自で開発されたAIの 独自性・先進性は高く評価できる。

 

※1: NeurIPS2019:毎年12月に開催される機械学習および人工知能分野のトップカンファレンスであり、この学会に採択された論文は例年大きな注目を集めています。            

※2: SAR(合成開口レーダー)衛星データ:電波を発する衛星により地表を観測したデータのこと。SAR衛星は光学衛星と比べて雲や夜でも観測できるのが強み。ただし解像度は光学衛星データよりも低い。

 

プレスリリース(PDF)はこちら