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時系列で複雑に遷移する状態を映像から高精度解析、映像監視AI「DeepFire」のベータ版をローンチ

2020年5月12日 プレスリリース

 AI・ディープラーニング技術のコンサルティングと開発を行う株式会社Ridge-i(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:柳原 尚史、以下、リッジアイ)は、映像から取得した時系列データを活用し異常検知を行う映像監視AI「DeepFire」(ディープファイヤー)を開発し、2020年3月25日よりベータ版の提供を開始いたしました。また、ベータ版の提供に際し、SOMPOリスクマネジメント株式会社(以下、SOMPOリスクマネジメント)と普及と活用の促進において協業し、エネルギー業界、廃棄物処理業界、製造業界等への試験提供も開始いたしましたので、あわせてお知らせいたします。

 

 リッジアイは、AI・ディープラーニング領域において、社会課題・顧客課題に寄り添い、現場に入り込んだコンサルテーションに始まり、アセスメント、開発、導入、顧客による自走化までを一元的に提供するテクノロジーカンパニーです。特に、ディープラーニングを活用した画像解析の技術力を軸に、様々な先端技術とAIを組み合わせた開発に強みを持ち、技術面において最適化された投資対効果の高いソリューションを提供して課題解決に取り組んでいます。これまでの実績としては、白黒映像の自動カラー化技術を株式会社NHKアートと共同で開発、NHKの番組でも採用されています。また、ごみ質を認識するディープラーニングを荏原環境プラント株式会社と共同で開発、船橋市が運営するごみ焼却施設で「ごみ識別AI搭載自動クレーン」として実稼働中です。社会課題解決に向けた取り組みとしては、「土砂崩れ解析ディープラーニング」(JAXAより受託)で宇宙開発利用大賞 経済産業大臣賞を受賞する等、実証実験に留まらず各産業界におけるAI・ディープラーニング技術の実用を進めています。

 

 この度、ベータ版としてローンチした映像監視AI「DeepFire」は、時系列解析の学習を行う最適なディープラーニングのモデルと高度な画像処理技術を組み合わせることで、これまで定量的な判断が難しかった時系列で状態が複雑に遷移する、「燃焼」、「粘性」、「液体」等の状態を的確に解析、異常・異常予兆の検知の自動化を可能とするソリューションです。時系列データを処理する複数のネットワークを組み合わせることにより、高度な映像解析において高い推論精度を実現、また、正常シーンのデータと少量の異常シーンのデータを教師データとして学習させることで、少ない学習データ量で人間のエキスパートと同精度のシーン判定を可能としました。なお、本ソリューションは、技術特許および商標登録を2020年4月に出願しております。

 

 「燃焼」シーンの監視に「DeepFire」を実装するケースとして、小型火力発電所やごみ焼却施設への導入があげられます。小型火力発電所ボイラーやごみ焼却施設燃焼室内に設置したカメラから取得した映像をリアルタイムで監視することで、燃焼シーンの映像データから異常の予兆を検知することが可能となります。その結果、異常発生前に、設備の稼働を停止することなく、制御・メンテナンスができ、操業の効率化や稼働率の向上を実現します。また、「粘性」シーンの監視については、食品製造工程における撹拌・混合状態等、常時監視があげられます。従来、同現場では熟練者が目視で長年の経験や勘による監視を行い、定性的な異常検知を行ってきました。監視業務への「DeepFire」の導入により、人による判断基準を標準化および定量化し、監視業務の自動化や若手への伝承を実現します。さらに、より高度な研究および開発業務等に人員を配置することも可能となります。

 

 ベータ版については、SOMPOリスクマネジメントと普及と活用の促進において協業し、同社が提供する「生産設備の映像監視 AI化支援コンサルティング」の顧客となる、エネルギー業界、廃棄物処理業界、製造業界等をターゲットに試験的に導入を進めてまいります。また、「DeepFire」の正式ローンチについては、2020年冬頃を予定しており、中長期的には、「DeepFire」のモデルおよび顧客が保有する各種データの利活用についても、SOMPOリスクマネジメントと協業を図る予定でおります。

 

 リッジアイは、「DeepFire」の正式ローンチに向け、より精度の高いモデル構築に取り組み、生産現場の自動化、効率化を実現するソリューションの提供を目指します。また、事業の展開を通し、近い将来に最先端テクノロジーが日常的に活用される社会の実現を目指します。

 

「DeepFire」概要

ソリューション名:「DeepFire」 ベータ版

概要:「映像監視AI」 映像から取得した時系列データを活用し異常検知を行う

価格:オープン価格

提供時期:2020年3月25日(正式版は2020年冬頃提供開始予定)

主な機能:

  • 映像情報から「燃焼」、「粘性」、「液体」等の状態を解析
  • 異常・異常予兆を自動で検知、操業の効率化や稼働率を向上
  • 監視業務の自動化、定量化

ベータ版提供業界:エネルギー業界、廃棄物処理業界、製造業界等

想定される適用事例:

「燃焼」状態の自動監視

小型火力発電所やごみ焼却施設の燃焼室を常時監視し、異常燃焼や有害物質の排出等をセンサーで検知する前に、その予兆を把握し、異常発生前に制御・メンテナンスを実施することが可能となり、操業の効率化や稼働率の向上につながる

食品製造工程における「粘性」のある物体の撹拌・混合状態の見える化

ベテランの職人が目視で確認していた発酵状態や練り状態を画像で判別することで、品質を安定化させることに加えて、職人の技能継承を容易にする

「液体」処理状況の自動監視

工場の汚水・排水処理設備や、水処理施設における水質判定は、浮遊物・泡・波・色・流れ等を人が目視によって複合的・定性的に判断していた。AIによる常時監視により、コスト削減や一定の品質での監視が可能になる

製造工場における搬送設備の異常検知

搬送設備の状況を監視することにより、搬送ラインの詰まりや欠品等の予兆を捉えることで、ライン停止前に予防処置が可能となる

 

 

プレスリリース(PDF)はこちら