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映像監視AI「DeepFire」β版の実証実験を完了 ~生産設備の映像AI化について実装段階へ前進~

2021年4月12日 プレスリリース

 AI・ディープラーニング技術のコンサルティングと開発を行う株式会社Ridge-i(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:柳原 尚史、以下「リッジアイ」)とSOMPOリスクマネジメント株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:桜井 淳一、以下「SOMPOリスク」)は、2020年3月に業務提携を開始した生産設備の映像監視AI「DeepFire」β版(以下 DeepFire)について、第一弾の実証実験を完了し、生産現場への映像監視AIの効果的な実装が可能なことを確認しました。 (※ https://image.sompo-rc.co.jp/infos/20200325_1.pdf
 今後「DeepFire」のより精度の高いモデル構築に取り組み、生産現場の自動化、効率化を実現するプロダクトの提供を目指すと共に、両社連携のシナジーを活かしたサービス展開を加速させ、映像監視AIの社会実装に取り組んでまいります。

 

1.DeepFire概要
 2020年3月にβ版提供を開始したDeepFireは、時系列解析の学習を行う最適なディープラーニングのモデルと高度な画像処理技術を組み合わせることで、これまで定量的な判断が難しかった時系列で状態が複雑に遷移する、「燃焼」、「粘性」、「液体」等の状態を的確に解析、異常・異常予兆の検知の自動化を可能とするプロダクトです。
 時系列データを処理する複数のネットワークを組み合わせることにより、高度な映像解析において高い推論精度を実現、また、正常シーンを教師データとして学習させることで、少ない学習データ量で熟練者と同精度のシーン判定が可能となりました。



2.実証実験の成果
 2020年8月から3カ月行った実証実験において、現場で液体の状態変化を見ながら機器の操作を行っている熟練者と同等の判断基準を、AIが自動認識したことを確認しました。
 本実証実験は、映像監視データからAIが異常検知を成功させた第一弾であり、映像から取得した時系列データを多く所有しているエネルギー業界、廃棄物処理業界、製造業界等において、安全な運用や人員配置を効率化させるプロダクトとして活用頂けるよう、様々な業界への提供を加速させる予定です。

【実映像データによる成果紹介(動画45秒)】 https://vimeo.com/469664895/b1fb6748ef

~DeepFireが熟練者と同等のタイミングで異常を判定。実用レベルの精度を実現〜

熟練者でなければ判断が難しい異常判定を、「DeepFire」が同等の判断基準を持ちながら、
誤差範囲内のタイミングでアラートを出すことに成功

 

3.実証実験概要
 本実証実験は、株式会社ミダック(本社: 静岡県浜松市、代表取締役社長: 加藤恵子)の工場内で稼働している油水分離処理後の廃液の移送状況を録画した映像データを基に、2020年8月から11月までの3カ月で行いました。

【今回実施した実証実験】

対象作業

・   油水分離処理は、工場などから廃棄された廃油を油と水に分離する中間処理

・   処理後の廃液を移送する際に、熟練者が性状を判断し油が混入したタイミング(異常状態)で、手動でポンプを停止する作業を行う。このことにより油が次工程に送られるのを防ぐことができる

・   この状態監視及び判断は熟練者が常に目視で実施している

目標

・   目視確認している作業員と同じタイミングで、DeepFireが異常を検出してポンプ停止タイミングのアラート出す

学習データ

・   正常シーンのみの映像 約3時間のみ

実験結果

・   ポンプ停止タイミングを自動で検出することに成功

・   複数作業員が判断するタイミングのばらつきの範囲内で、異常シーンを判定(ばらつきは本現場における許容範囲である)

参考比較

・   一般的に利用されているルールベースの画像解析技術(閾値で2値化し、ピクセル数をスコア化する手法)でもトライアルを行ったところ、異常状態の検知が困難という結果となった


 この度の実証実験で、映像データから自動で異常状態の検知が行えたことにより、人による常時目視を必要とせずに、ポンプ操作を自動で行うことができるようになります。今後、監視業務に「DeepFire」を導入することで、人による判断基準を標準化および定量化し、常時監視業務の自動監視によって業務効率化が可能となり、より高度な研究や開発業務等に人員を配置することも可能となります。

 

ミダック本社事業所所長 松本徹様よりコメント

これまでは作業員が処理後の廃液移送のポンプ稼働中に常時監視を行う必要がありましたが、実証実験を通じてDeepFireが熟練者と同等のタイミングで異常の状態を検知でき、この精度は現場で使用可能なレベルと考えております。DeepFireを現場へ導入することで、人手不足や無人化などの課題を解決できると考えています。

 

4.検知イメージ
 監視カメラの映像から、現在の油水分離槽の状況を把握し、求める変化の段階でポンプ停止用の信号を発報することで、自動停止を行うことができます。

【参考画像】 
熟練者が目視確認している油水分離槽の様子 (動画はこちら

 

【実証実験結果サンプル】
熟練者の指示した停止タイミング5分25秒に対して、DeepFireでは解析結果では5分43秒で判定。このばらつきは実務上許容範囲であることを確認済み

 

「DeepFire」概要
ソリューション名:「DeepFire」 β版
概要: 「映像監視AI」 映像から取得した時系列データを活用し異常検知を行う
価格: オープン価格
パートナー: SOMPOリスクマネジメント株式会社

主な機能:
・映像情報から「燃焼」、「粘性」、「液体」等の状態を解析
・異常・異常予兆を自動で検知、操業の効率化や稼働率を向上
・監視業務の自動化、定量化

「DeepFire」β版 提供業界:
・エネルギー業界
・廃棄物処理業界
・製造業界 等

想定される適用事例:

「燃焼」状態の自動監視                                
小型火力発電所やごみ焼却施設の燃焼室を常時監視し、異常燃焼や有害物質の排出等をセンサーで検知する前に、その予兆を把握し、異常発生前に制御・メンテナンスを実施することが可能となり、操業の効率化や稼働率の向上につながる

食品製造工程における「粘性」のある物体の撹拌・混合状態の見える化
ベテランの職人が目視で確認していた発酵状態や練り状態を画像で判別することで、品質を安定化させることに加えて、職人の技能継承を容易にする

「液体」処理状況の自動監視
工場の汚水・排水処理設備や、水処理施設における水質判定は、浮遊物・泡・波・色・流れ等を人が目視によって複合的・定性的に判断していた。AIによる常時監視により、コスト削減や一定の品質での監視が可能になる

製造工場における搬送設備の異常検知
搬送設備の状況を監視することにより、搬送ラインの詰まりや欠品等の予兆を捉えることで、ライン停止前に予防処置が可能となる

 

 

▼ミダックについて

会社名:株式会社ミダック
設立:1952年4月
所在地:静岡県浜松市東区有玉南町2163番地
代表:代表取締役社長 加藤 恵子
資本金:752,971,140円
事業内容:
産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の収集運搬・処分(中間処理・最終処分)、事業系一般廃棄物の収集・運搬、家庭系一般廃棄物の収集・運搬及び自治体からの受託 産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の営業、一般廃棄物の営業、リサイクル業
URL:http://www.midac.jp/

 

▼SOMPOリスクマネジメントについて

会社名:SOMPOリスクマネジメント株式会社
設立:1997年11月
所在地:東京都新宿区西新宿一丁目24番1号 エステック情報ビル27階
代表:代表取締役社長 桜井 淳一
資本金:3,000万円
事業内容: アナリティクス事業、リスクマネジメント事業、サイバーセキュリティ事業
URL:https://www.sompo-rc.co.jp/
サービス内容に関するお問い合わせ先:リスクマネジメント事業本部 事業開発部[担当:山本 匡] TEL:03-3349-9853(直通)

▼Ridge-i(リッジアイ)について

会社名:株式会社Ridge-i
設立:2016年7月
所在地:東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル438
代表:代表取締役社長 柳原 尚史
資本金:7億5500万円(資本準備金含む)
事業内容:①AI・ディープラーニング技術のコンサルティングおよび開発
               ②共同事業、ライセンス、保守モデル、自社開発等によるプロダクトの提供
URL: https://ridge-i.com
お問合せ:contact@ridge-i.com

 

リッジアイは、AI・ディープラーニング領域において、社会課題・顧客課題に向き合い、最先端の技術を駆使して解決し、新しい社会を創造するテックイノベーションファームです。特に、画像やセンサーデータの解析について、様々な技術とディープラーニングを始めとするAIを組み合わせた開発能力に強みを持ち、投資対効果が高く技術面において最適化されたソリューションの提供により、課題解決に取り組んでいます。顧客課題だけでなく、多くの社会課題に取り組み、JAXAより受託した土砂崩れ解析ディープラーニングでは第4回宇宙開発利用大賞 経済産業大臣賞を受賞。今後も技術の実用と研究の両立を追求し、社会・顧客が持続的に効果を実感できる最高のソリューションを提供します。

 

プレスリリース(PDF)はこちら