株式会社 Ridge-i リッジアイ

PROJECT / PRODUCT開発事例・プロダクト

宇宙産業におけるディープラーニング技術と展望

機械学習・ディープラーニングの役割として、大量のデータから、人間と同じレベルのInsight(推察)を得ることができる、という点があります。
その可能性を活かすためには、まだ充分に解析されてない発掘されていないデータ、もしくは新しい未知のデータを解析する、という2つのアプローチがあります。

宇宙に関するデータ、衛星画像データに関するディープラーニングの活用は、この数年でまだ始まったばかりです。更に、SAR(合成開口レーダー)に関しては、新しい衛星、違う周波数の観測データが日々増えているところで、まさしくディープラーニングが解析するべきデータの特徴を二つとも兼ね備えております。

また、衛星画像データに、通常の教師ありディープラーニングだけではなく、異常検知技術を使うことで、災害のいち早い観測や予測をすることは既に技術的に可能な範囲です。またSARは光学式では難しい曇天時にも強いことや、波と混ざりやすい原油の流出や、埋蔵資源の発見の可能性が多くあり、これから本格的に探求が始まります。
また、SARは画像よりも高次元のデータとなるので、その生のデータのまま解析を行うことでデータの損失を少なくしつつ、さらにGQNのような高次元化処理も入れることで、3次元の移動空間を再現する事も出来るかもしれない、と考えると、現在衛星からのデータは、解析されているものはまだごくごく一部で、未開拓のエリアが沢山あり、わくわくした取り組みです。

当初は研究開発の要素が高い取り組みでしたが、2020年3月には内閣府主催 第4回宇宙開発大賞 経済産業大臣賞を受賞するなど、ありがたいことにマーケットや自治体・政府からも私達の取り組みへの評価が高まってきており、今後の実用化に向けて加速しています。

災害検出へのディープラーニング活用(JAXAより委託)

2019年、JAXA(宇宙航空開発研究機構)より受託を受けた、土砂災害へのディープラーニング活用では、光学衛星データを解析し、土砂崩れ箇所を自動で検出します。
従来は熟練の検査員が一枚当たり数十分かけて目視確認していた作業を、一秒以内で処理することが可能となりました。災害箇所を学習する物体検出ディープラーニングと、被災の起きてない箇所を学習する異常検知ディープラーニングを組み合わせて、少ない学習データでも高精度に災害箇所を検出できるシステムを構築しました。本技術は、AI領域の代表的な国際会議の1つであるNeurIPS2019(Neural Information Processing Systems)のワークショップに採択されています。

Large-Scale Landslides Detection from Satellite Images with Incomplete Labels

現在、こういった成果を国土交通省主催の勉強会などで発表をすることで、実際の運用に向けて取り組んでいます。

見える化から予測へ 光学衛星データ以外との組み合わせ

光学衛星のリモートセンシング画像だけでなく、合成開口レーダ、そして過去に土砂災害が発生した土地の降水量や地形などのデータを解析すれば、今後起こりうる土砂災害の予知にもつながる可能性も高いと期待しています。

また目的に応じて精度重視と速度重視の2つのモデルを用意することも考えられます。災害発生中もしくは直後ならば悪天候や夜間での速報性が重視されるため、合成開口レーダーを中心で精度が抑えつつ速報性を意識したディープラーニングを用意し、被害情報を衛星データで取得して救難ヘリなどへの伝達にも使えるほか、後日のリスク査定などでは光学情報や路線価などを含めた精度の高めのディープラーニング、崩壊度や被害額を推定するディープラーニングを用意することで、自治体や損害保険会社などでも利用の余地があると考えています。

将来的には、マクロ的な解析から、より個人のミクロレベルでの災害解析へと進化されて、『うちの裏山は今後どうなるんだ』といった個人に向けての情報発信ができたら一つのマイルストーンだと考えています。

宇宙・衛星産業の課題とAIによる解析の可能性

しかし、宇宙のデータ活用に関する問題として、ユーザー視点では「そもそもどういう事が見つかるか想像つかない」、「適切な衛星データの在り処がわからない」、「データ購入費用が高額」といったことがあります。また衛星事業者のシーズ側でも技術に偏ってしまい、シーズベースでの利用シーンを想定したケースが多くなってしまい、打ち上げた後にニーズを探す、という順序になりがちです。

このように、宇宙産業では私たちが常に課題として考えているニーズとシーズのギャップが大きくあり、そのギャップをつなぐ架け橋として、リッジアイはAIの解析技術を活用していきます。

AIによる解析事例を積極的に積み増して発表していくことで、衛星データには身近なニーズにも応えるような面白い知見が沢山埋まっていることを伝えるのが最初のステップです。そこから、ユーザー視点でより具体的なニーズを喚起し、それに合わせた衛星を衛星事業者と共に作り上げていく、というエコサイクルの実現を目指しています。

このエコサイクルを早い時期に立ち上げ、サイクルを回転させることで、ニーズに即した衛星によるコストの効率化、大量の衛星打ち上げによる安価なデータ購入の実現、解析技術のプラットフォーム化によるコモディティ化を実現していきます。

先述のエコサイクルを構築するためにも、リッジアイがもつ技術の中核であるディープラーニングを十分に活かし、事例を積み重ねながら、今後も様々な宇宙・衛星関係者や研究室とも連携をとり、宇宙データの活用に向けた取り組みを推進しております。

 

なぜリッジアイは宇宙領域に踏み込むのか?

宇宙にはロマンがある、という単純な理由が一番フィットするかもしれません。
数億光年といったマクロな視野から、量子力学やニュートリノのようなミクロの視野、誕生と消滅などと科学的・物理的好奇心の尽きない分野であります。
また制約条件が限りなく大きい環境での、衛星の打ち上げや運営については、技術的好奇心も掻き立てられます。

想い以外で述べると、宇宙に関するインフラから宇宙空間での実験などは今後数年でますます伸びており、世界として宇宙ビジネスは今後20年で1兆ドルの市場規模と、現在の4倍強に成長すると考えられています。

宇宙産業の成長を促すキーとなる要素としては、エネルギーの有効活用、リモート・センシング技術の成熟、ロケット打ち上げの安定化と低コスト化、宇宙インフラの整備(衛星軌道の整理や宇宙ごみ等)、そして経済合理性だと考えております。

宇宙産業については官主導で動いていた面が強いですが、衛星データや通信網などが整っい、経済合理性を促すことで、民主導宇宙インフラの活用が加速するのではと思っております。

リッジアイとしては、まずは衛星データ(光学・SAR 等)を、ディープラーニング技術を用いて、マーケットとして興味のある形で解析し提供することで、マーケットを活性化して経済合理性を促します。さらに、機械学習・ディープラーニング技術をフルに活用して、リモート・センシング技術の成熟を促す、というのが当面の視野です。強化学習などにあたる技術を衛星や探索車に載せることで、超遠隔地で通信ラグの多い通信環境で、自律的な制御を行う上で役に立つかもしれません。

機械学習・ディープラーニング技術を使うことで20年と言わず、宇宙産業の成長はかなり早いものになると確信しています。その中で、宇宙産業でのAI活用といったらリッジアイとなれるようなポジションになることを考えております。

 

これまでの取り組み

▼リッジアイの実績

・国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同で、ディープラーニングによるSAR画像から原油流出を検出するシステムを構築
・JAXAと共同でSAR・光学衛星データによる解析事例

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▼リッジアイの取り組み
・TellusおよびxData Alliance

 

▼代表柳原の取り組み
・経済産業省 政府衛星データのオープン&フリー化及びデータ利用環境整備事業 ステークホルダ委員会 アドバイザリー委員
・総務省 4次元サイバーシティの活用に向けたタスクフォースの構成員
・内閣府 高分解能リモートセンシング衛星ニーズに関する調査・分析 有識者会合メンバー

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